2020年7月7日火曜日

思い出の、黒と赤のSL

7月3日から4日にかけて九州南部に降った記録的な大雨は、父の実家がある人吉球磨地方を流れる一級河川の球磨川(くまがわ)を氾濫させ、人吉市の広範囲が泥水にのまれてしまいました。

幸い父の実家はもっと内陸の川から離れた町にあるので浸水被害は免れましたが、人吉市は子どもの頃から幾度となく、お盆やお正月休みを過ごしに行って慣れ親しんでいる場所です。フランスに移住した後も、日本帰省の度にバンちゃんやユーゴを連れて訪れたことがあります。

特にユーゴが喜んだのは、4年前の2016年4月(熊本地震の3日前!)に見に行った、人吉駅のSL機関車です。ばりばりの現役です!


駅のすぐ近くには「mozocaステーション868」という小さなミュージアムがあるのですが、そこにある可愛らしい赤いミニSLもユーゴはいたく気に入りました。

「MOZOCA」というのは、球磨地方の方言で「小さい、かわいい」という意味です。父方の祖母がよく、赤ちゃんや動物を見ながら嬉しそうに「もぞか〜♡」と言っていたのを思い出します。

ミュージアムの中はとてもおしゃれで、鉄道模型の展示や木のボールプールもあり、ちびっこにはたまらない空間となっております。


さて先ほどの赤いミニSL は人が乗れるのですが、ミュージアムの中を出発して建物の外へ出て、黒いSLが走る線路と平行に敷いてあるレールを進みます。


そのため、運が良ければこの赤いミニSLに乗って、人吉駅を出発する黒いSLと「並走」することができるのです!訪れた日はなんとそのチャンスを得たので、ユーゴと2人で赤SLにまたがり、煙をもくもく吐きながら進む黒SLを愛でつつ一緒に走ることができました。ああ、なんて良い思い出…


そんな「勇ましい黒」と「もぞらしい赤」のSLが、当分のあいだ一緒に走ることができないなんて。黒は浸水を免れたらしいですが、赤は建物の1階にあるので、おそらく濁流に飲み込まれてしまったと思います。地元の人たちのショックと悲しみを思うと言葉になりません。

今後もまだ大雨に警戒しなければならないようなので、一日も早い復興を…などと願うことすら時期尚早ですが、どうかこれ以上被害が拡大しませんよう。遠いフランスの端っこから祈ることしかできませんが、亡くなられた方や被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。

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