2008年10月9日木曜日

できすぎくん(ちゃん)

最近2回に1回は日本語の話だなあ、お許しを。

新学期がスタートして3週間目、私が相手にしているのは、「あいうえお」も知らなかった初心者の1年生。ひらがなとかたかな練習から始め、今やっと文法の第1課をやっているところ。

同僚の先生方には、「覚えるのも書くのもほんとに遅いから、最初はゆっくりゆっくりやって」と散々言われていたので、プログラムや進度はものすごーくゆとりを持たせて設定した。

ところが蓋を空けてみてびっくり、私が担当している文法2クラスの生徒は、みんな覚えるのと理解するのが異常に早い!黒板に平仮名を書けば後ろですでに読み始めている声が聞こえるし、問題を生徒に当てれば、ひらがな&かたかな表を見ずに「自分の記憶力で」黒板の文字を読み取ろうとする子が大半。会話の授業でも、前回の授業で学んだ表現をプリントを見ずに日本語で答えてと言うと、スラスラ出てくる。
「ここまで大丈夫?速すぎない?質問は?」と尋ねても、
「んー大丈夫、ペースOK、質問ない」という反応がほとんど。

できるのはいいことだけど、わからないことや質問があんまりないって、教師としてはなんとなくやりがいに欠けるなあ^^;

それでも必ず数人はできない子がいるわけだから、彼らのためにも練習問題の文はひとつひとつ黒板に書いて、アルファベットの読みがなまで打つようにしている。でもこれがかなり時間を要するので、大半のできる生徒たちは明らかに退屈している様子。うーん、どうしたものか。

そのことを同僚のT先生に相談したら、彼女は相当びっくりしていた。というのも、彼女の文法クラスには「できない子」が大半を占めているからだそう。いつまでたってもひらがなも読めず、なかなか授業が進まないのだとか。

クラスによってこんなにもレベルに差があるんだーと驚きつつ、生徒たちが「どの専門から来ているか」によってその理由はすぐにわかる。外国語が好きで専門にしている学生は、自分なりに習得のしかたを心得ているので、記憶力はさることながら、理解力や情報処理力がすごい。それに反して、芸術系を専門にしている子たちは、マンガや書道、アニメが好きで日本語を選択するものの、語学そのものを苦手にしている子が多いらしいので、習得が非常に遅いのだとか。そういえば、私のクラスには語学系の子がほとんど。できすぎくん(ちゃん)の集まりを担当していたのね〜。

できる子のためにペースを上げるか、できない子が脱落しないように今のペースを守るべきか。教師としては難しい選択。来週は実験的に、ちょっと早めてみるかな。。。

最後に余談だけど、今日のスパイダーマン。

(授業後)

ス「せんせー」

私「なに?」

ス「練習問題、書かずに口頭でやってくれません?ちょっと遅い。。。」

私「気持ちはわかるけど、同じクラスでもレベルの違いがあるから」

ス「そんなの勉強しないやつが悪いんですよ

そう、そのとおり!と内心は彼に激しく同意するものの、

私「そうね、でもほとんどの学生にとって日本語は専門じゃないから、勉強に時間が取れない子もいるでしょ」と教師っぽくフォロー。

そりゃあ私だってペース早めたいし、できる子がほとんどだという現実もある。でもスパイダーマンに言われると、無性に反論してやりたくなるのはなぜ(笑)

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