日本語を教えているとはいえ相手が初心者のフランス人であると、文法の授業ではしょっちゅうフランス語で説明したり訳を言ってあげなければいけない。私の言うフランス語は一応彼らに理解されているみたいだけど、文法的に間違っていることは多々あるはず。発音だってしょっちゅう曖昧になってしまう。でも生徒たちはやさしいので、意味が伝わればよしと文句も言わずにいてくれる。面倒くさくて指摘しないという場合もあるだろうけど(笑)
文法的に間違ったり発音が悪かったり、自分のミスにすぐ気づけばできる限りその場で言い直すようにはしている。外国人なんだから間違うのは当たり前だし、自己訂正できればそれはそれでいいこと。ただ口に出して言う勇気すら出ないほど苦手なのが、
疑問文において疑問詞が単独で文頭に来る場合の
動詞と主語の倒置。
例えば、Où(どこ?)やQuel âge(何歳?)から始まる疑問文を作るとき、原則として動詞と主語の語順をひっくり返さなければならない。
Où allez-vous? (あなたはどこへ行きますか?)
Quel âge as-tu?(君は何歳?)
口語では"Vous allez où?"と倒置なしで言っても全く問題はないのだけど、こういう疑問文のフランス語訳を学生に頼むとかなりの確率で倒置文が返ってくる!
「授業中には正当なフランス語を話しましょう」
と幼い頃から教育されているのだろうか、外国人教師にとってはかなりのプレシャー><上の2文は直説法現在形なのでまだいいけど、これが複合過去になるとややこしくなる。主語と動詞を倒置するのではなく、
「主語と助動詞」をひっくり返す。
Où êtes-vous allé(e)(s)?
しかも、主語がvous(あなた)のような「人称代名詞」なら上の文くらいの混乱ぶりで済むけど、主語がFlorian(フロリアン)みたいな「固有名詞」になるとさらに厄介。固有名詞をそのまま倒置してはいけないので、まずはその固有名詞に該当する「人称代名詞」をあてがってその人称代名詞と動詞を倒置させ、最後に固有名詞をくっつける。
Où va-t-il Florian? (フロリアンはどこへ行きますか?)
Où est-elle allée Ophélie?
おまけに最初の文なんか、動詞の"va"と人称代名詞の"il"が隣り合わせだと発音しにくいという理由から間に"t"を入れないといけない。これをね、頭の中で瞬時にやるのはかなり難しい!だからなるべくやりません(苦笑)
この倒置にまつわる間違いを防ぐために、授業では"Qu'est-ce que", "Est-ce que", "Où est-ce que"など倒置がいらない形をフル活用している私。私よりずっとフランス語ができるロシア人の友達(今は私の生徒)でさえ倒置を避けるくらいだから、これは外国人にとって相当難しいと見た。
でもね、いつまでも倒置を避けていては「あ、この先生倒置できないんだな」といつの日か見破られてしまうに違いない。要らない見栄を張らなくてもいいんだけど、口頭でパッと主語と動詞の倒置ができればかっこいいではないか★
というわけで、最近は生徒が訳を倒置疑問文で答えた後はすぐに自分も繰り返すようにしている。表向きは
「聞こえなかった人のために繰り返してあげる♪」
だけど、実は自分のトレーニングのため(笑)口に出して音声化することで慣れるのも早い、はず。外国語をマスターするのってほんっっっとうに難しい。
多分一生かかっても無理です↓