2019年3月19日火曜日

【My人生の教訓】書けるフランス語は…

今回の教訓は、いちフランス語学習者として講師として、僭越ながら自分で編み出したものです(えっへん)。

書けるフランス語は話せる。

外国語を勉強している時、その言語を使って何が一番できるようになりたい?という問いかけをしたら、多くの人がこんな風に答えるのではないでしょうか。

流暢に話せるようになりたい。
自分の考えを的確にその言語で表現したい。

言語はコミュニケーションのツールだから、意思疎通を行う方法の代表格である「会話」や「ディスカッション」が上手にできるようになりたいと思う人は多いはず。オーラルコミュニケーション能力を上げたいから、「聞く」「話す」というトレーニングを重点的に行っているという人も多いはず。

でも私は自分の経験上、その言語で「読む」「書く」こともバランスよく定期的に行ってほしいとよく生徒さんに訴えています。特に、理解した文法事項や覚えた表現を使って「自分の考えをフランス語で書き出す」ことを強く勧めています。伝えたいことをその言語に変換して「見える化」し、正しいスペルと発音を確認したうえで頭に入れ、自己表現のツールとして活用する。この作業を通してのみ、その言語で着実に上達できるというのが持論であり、信じて疑いません。

学生時代はこの「読み書き」の機会が多かったので、その頃は飛躍的にフランス語力が伸びたと思います。ところがここ数年は仕事でフランス語を使うせいか、プライベートでは日本語の活字が恋しくて、フランス語を自主的に読んで書く機会が減っていました。そのせいか最近、自分のフランス語力は停滞しているように感じていました。

そんなある日、最近一緒に仕事をする機会が増えている講師のHくんが、水林 章さんという著名な文学者の動画を勧めてくれました。フランス語で執筆したご自身の著書についてフランス語で話していらっしゃるその動画を観て、久しぶりにこの言語の一学習者として深い感銘を受けました。

水林さんの発音はネイティヴのそれとは違うとわかりながらも、ひとつひとつの単語を発音する時に迷いがない。ゆっくりとした話した方ではあるけれど、文の構成が明確で、まるで文章を早打ちでタイピングしながら音読しているかのよう。そして何より、語彙が豊か!特に名詞と形容詞…知らない単語がいくつもあったなぁ。

文学者として40年以上フランス語を読み、フランス語で思考し、自身の考えや思いをフランス語で書くという作業を密に続けていらっしゃるからこそ、知識や思考が明確に整理されていて、話す時に澱みがないのだと思います。何万回と読んで書き慣れている文型や単語のスペルは完璧に頭に入っているだろうから、音声への変換が明瞭で余裕さえ感じられます。まさに「書けるフランス語は話せる」ことを証明されている方です!

もちろん、読み書きに加えて「聞く」「話す」トレーニングもバランス良く行うことが一番ですが、「流暢に話せるようになりたい」学習者に「書く」習慣が少ないという人が多い印象を受けるので、自分の思いや考えを文字に「見える化」して音読練習して会話で使う、この一連の作業を講師兼学習者として強く推奨しております。

水林さんの著書、近いうちに読んでみよう。日本人の脳から紡ぎ出されたフランス語の文章には参考になる部分がたくさんあると思うので、気に入ったフレーズや言い回しは自己表現に取り入れて、書けて話せるフランス語をさらに増やしていかなければね。

先月の記事にも書きましたが、2019年は仕事に打ち込むことになりそうで、大変だけど一皮むけるチャンスだとも感じています。そのためにはフランス語のブラッシュアップも必要ですね、がんばろ。新しい環境と出会いに、感謝です。

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